1.放置マンション問題
空家問題の中の「放置マンション」という現象
空家といえば戸建て住宅を思い浮かべがちですが、実際には分譲・賃貸を問わずマンションの空室・空家も増加しています。特にバブル期に大量に建設されたマンション(築30年以上)が、近年空家化しやすくなっています。
分譲マンションは、通常「空室」のまま放置されることは無いと思われがちですが、実は何らかの理由(死亡、夜逃げ)で空家のまま放置されている物件が近年急激に増えています。
老朽化と管理不全のリスク
- 築年数の経過とともに、**管理組合の機能低下(住民の高齢化・合意形成の困難)**や、修繕積立金の不足などの問題が起こりやすくなっています。
- 修繕が行き届かず、スラム化や安全性の問題を抱える空家マンションも出てきています。
市場価値の低下と「流動性のなさ」
- 老朽マンションの多くは立地や構造の問題により、買い手・借り手が付きにくく、再流通が難しいです。
- 特に地方都市や郊外では、「売るに売れない、壊すに壊せない」といった「負動産」化が進行しています。
2.管理会社 管理組合の悩み
マンション空室は外から問題が見えにくい
マンションの居住者が死亡して空き部屋になった場合など管理組合、管理会社は対応に困るケースが近年多々発生しています。一次的には「管理費の滞納問題」が発生してきますが、二次的には室内の衛生問題(ニオイ、残置物)やポストの郵便物があふれ出し管理が悪い印象を外部に与えるなどマンションの流通性、価格形成にまで影響が出てきます。
相続人が現れないケース
亡くなった方の相続人が現れて以後の整理に対応してくれれば良いのですが独居老人や身寄りがない場合には結果的に放置となります。また、生前故人とは疎遠で亡くなった事実も知らないままというケースもあります。
競売で決着できないケースも多い
対象の部屋に「住宅ローン」の残債があり、金融機関が債務不履行により競売を申立ててくれれば空家問題と管理費滞納は同時に解決しますが高齢者の場合、ローンはすでに返し終わって金融機関からの強制執行は期待できない場合も多いです。また、税金の滞納がある場合も差押えの登記は入りますが役所が強制競売までは行いません。
弁護士事務所に依頼すると
費用が高く 時間もかかる
管理組合は管理会社と相談します。そこでは弁護士事務所に解決を依頼することをまず最初に提案されるでしょう。 管理会社が大手の会社ですと顧問の弁護士事務所もあるのでそこに相談するように言われます。ただし、弁護士事務所に頼むと「費用が高い」「時間がかかる」というデメリットがあります。
弁護士事務所は、戸籍謄本をあげて相続人を特定する作業を行いますがこの作業を行うだけで1年ぐらい掛かります。そして相続人が判ったら督促の手紙を送付します。「相続が発生してあなたが相続人であること」「管理費の滞納が〇〇万円あります」「〇月〇日までに支払ってください」「支払わない場合には、訴訟を起こして差押えします」
私の経験上ですが上記内容の督促状をいきなり送り付けますので、相続人は普通びっくりします。ケースによっては怯えてしまい家庭裁判所に相続放棄の手続きに行く場合もあります。弁護士は相続人に事情を説明してアドバイスや相談に乗りましょうというアプローチではありません。債権者が債務者に支払の督促をするスタンスです。法律的に間違いではありませんが「問題をこじらせるだけ」で時間がかかります。おそらく問題解決に2年ぐらいは普通にかかります。しかも「管理費の滞納」問題に重点が置かれるので空室問題の解決にはさらに時間がかかります。
また、費用として私の見聞きしたケースでは、着手金50万円を最初に振込むことを求められます。普通の管理組合では理事会では決定できない金額なので臨時総会または通常総会の決議事項になります。
具体的な解決方法( 速く 合法的 費用を掛けずに )
端的な解決は管理組合の理事長、理事または管理会社の担当者が役所(市町村)の戸籍課に出向いて事情を説明して住民票、戸籍謄本を取得して相続人を探し出し、事情を説明して空室マンションの処分や管理費の支払いを依頼すれば良いだけです。
役所の窓口は、住民票等の請求に対して正当な理由があれば発行には応じてくれます。しかし、実際にそこまで行える管理組合はほぼありません。理由は以下に記載のとおりです。管理組合の理事、住民の中には法律手続きに詳しい方、法曹関係者もいますが自分から手をあげて処理してくれるケースはほぼありません。
1.手続きに慣れていない。役所の窓口でうまく説明できないと「押し問答」「言い争い」になる。 2.個人情報の取得と保管、利用になるので事後の管理に不安。責任問題になることが心配 3.相続人を特定した後にどのように説明するのか また、解決策を提示することに不慣れ。 4.相続人が複数人いる場合に全員に説明し、全員の承諾を取ることが難しい。 5.もし、相続人同士が争いになった場合に管理組合が当事者として巻き込まれると理事の責任問題になる。
当行政書士事務所に依頼するメリット
●責任問題の回避:当事務所は、相続関係を主業務としていますので「相続人の捜索」に関しては専門家です。県単位の行政書士会の指導の元で個人情報である住民票、戸籍謄本等の取得に関しては資格に基づく取得が認められています。 また、依頼を受けた管理組合様とは、業務委託契約と守秘義務契約を結びまして 交渉に関する責任問題は当事務所が一括して負担いたします。
●費用が安い:費用負担は、基本(ベース)5万円(税別)でお引き受けします。相続人の捜索を行い、対象者と連絡を取り管理費の滞納状況と解決して欲しい旨を伝えます。関係人が増えてきて相続人が3名以上になり、フェーズ1に業務内容がアップすると合計額10万円(税別)まで上がりますがそこを上限としています。
管理組合の費用負担は、上記10万円以上は掛からないようにしていますが、遠隔地への出張や相続人が海外に居住していて別途費用が掛かる場合(または外国人)には、ご相談させていただきます。相続人と連絡が取れた後に別の相続人から「他の相続人を探して連絡を取りたいという」要望があればそこからは相続人側に費用を請求させていただきます。
●管理会社と連携:相続人と連絡が取れて具体的に解決する資金余力がない場合には、相続物件(空マンション)を売却してもらうようにお話しします。その際に当該マンションの管理会社が不動産部門をお持ちでしたら管理会社に売側の仲介会社になっていただくようにお願いしています。重要事項の説明等で管理会社に協力していただければ事務の進行が速くスムーズに行くからです。